北海道に住みたいと言っているだけのブログ

映画「さかなのこ」をみた

sakananoko.jp

最近観たい映画がないなと悶々していた中で、やっと見つけた気になる作品。昨日、ニッケコルトンプラザで観てきた。心を空っぽにして穏やかな気持ちで観られる、素晴らしい映画だった。

映画の冒頭で「男とか女とかどうでもいい」といった文言が出てくるので、これはもしかしたら昨今のジェンダーカラーの強い作品なのかなという思いがよぎったのだが、そんなことはなく、ひたすら魚だらけの作品だった。というか、ジェンダー以外にも「同級生からのいじめ」「父親からの不理解」「心を開いた人が警察に連行される」「ヤンキー」「簡単な仕事ができない」「家がない子連れの友人」など、実に様々な問題や困難が出てくるのだが、意図的にどれもマイルドに描かれているように感じられた。「魚が素晴らしいんだから、それでいい」と言わんばかりの、痛快なテーマ。

映画の最後の方で、母親が「魚をずっと好きでいてくれてよかった」とさかなクンに伝えるシーンがあるんだけど、めちゃめちゃ響くひとことである。勉強も特に強いることもせず、好きなことをひたすらやらせてあげられるのは、尋常ではないほどの辛抱と不安があってこそ。彼はその才能や努力が花開いて成功したケースといえるが、世の中うまくいかないことの方が多いから、果たして自分が母親の立場だったら一体どこまで寄り添ってあげられるだろうかと考えさせられる。子を信じて、不安と戦って、結果が出たからこそのこの一言、とても重みがある。

さかなクン、子供に人気だからなのか、それとも「好きなことをやっていくことの大切さ」を親から子に押し付けたいからなのかはさておき、映画館には子供の姿が多かった。「悪者を倒す」といったアニメのストレートなゴールと比べると、本作はどうしても地味に見えてしまうことに加えて、上映時間も 2 時間以上たっぷりとあるので、子供にとってはなかなか集中力が続かないかなぁと思ったりする (後ろから足でドンドンやられたことを思い出しつつ)

それにしても、どこかの監督インタビューでかなり脚色したとあったが、果たしてどこまでが実話でどこまでがフィクションなのか…。さかなクン本人による原作本があるのでこれを読めばだいたいわかりそうではあるが、あえて答え合わせをせず想像して楽しむのもまた良し。