公開日の翌日という 7/10 に渋谷のシネクイントでみた。上映時間の都合でこの映画館になったんだけど、Fishmans と何かと繋がりのある渋谷という地で観られたのは偶然ながらよかった気がする。
クラウドファンディングで制作されたこの作品は、およそ 3 時間という上映時間を感じさせない、実に手の込んだ、愛に溢れた編集に感じた。
自分が彼らのファンになったのは大学生の頃であり、リアルタイムで彼らを追っていたわけではないため、いろいろな書籍で歴史を後追いしていた。それなりに Fishmans のことは知ることができていると思っていたが、いざ映画を観てみると知らなかった情報がどんどん出てくるし、なにより映像のインパクトはやはり強く、発見の連続であった。当時の映像からプンプン感じられる 90 年代の匂いも狂おしくたまらないのである。
個人的に大きく心動かされた点が 3 つあった。
- メンバー脱退の一因を知ることができた。
- かつてのメンバーだった小嶋さんやハカセの脱退理由について、本人のインタビューという形でここまで詳しく知ったのは初めて。
- 「(佐藤さんの作る) デモテープのクオリティが日に日に上がっている」かつ「各パートのアレンジをメンバーに任せている」という点が、(自分の想像にはなるが) メンバーに大きなプレッシャーと無力感を与えたのはでないかと感じた。
- メンバーの脱退が、佐藤さんおよび楽曲に大きく影響を与えたのは間違いない。良くも悪くも小嶋さん・ハカセの脱退が空中キャンプという作品に繋がったと思うし、一方で脱退がなかったら果たしてどんな作品になっていたのだろう、という贅沢すぎる疑問も湧かざるを得ない。
- こうした背景があった上での、「男たちの別れ」ツアー MC における「10 年後、Fishmans は何人になっているのか」の話。
- 相次ぐメンバー脱退に対する佐藤さんのシニカルかつ自虐的な MC。この箇所はライブ CD で何度も聞いているはずなのに、直前のハナレグミのインタビューおよび (脱退する) 柏原さんの映像が相まって、ぐっと来るものがあった。
- 言うまでもないけれど、脱退してわずか 3 ヶ月後にかつていたバンドのメンバーが亡くなるなんてことになったら、脱退した身としては (当然これっぽっちもないのだが) 責任を感じてしまいかねない。非常に辛い時期があったのではないかと推察する。
- というか、脱退の有無にかかわらず、すべての関係者に何かしらの葛藤はあったに違いなく。それを乗り越えてのあのインタビューだから、色々と思うところがある。
- 映画としては大充実の内容だったんだけど、一方で予想通り、鑑賞後の喪失感が半端ない。
- 観終わったあとの「もぬけの殻」感がやばい。
- それ以上に、観ることで得られた Fishmans への解像度アップは計り知れない。
なにはともあれ、好きなバンドの映像を、映画館という素晴らしい鑑賞環境で 3 時間も観ることができたのが率直に嬉しいのであった。もうシンプルにこれ。
あとは映画公開まわりで欣ちゃんがいろいろな取材を受けているんだけど、その中でもこの記事は読み応えがあって非常に良かった。