北海道に住みたいと言っているだけのブログ

本八幡に戻八幡

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晦日にこんな記事ですまぬ。3 年近く住んでいた押上を離れ、千葉の本八幡に引っ越しをした。そもそも押上の前も本八幡に住んでいて、とんぼ返りしたような感じだ。ということで 12 月は引っ越しまわりでかなり忙しかった。

 

そもそもの引っ越しのきっかけは、知人が使われていない実家を格安で貸してくれる、という話が舞い込んできたことで始まった。それはもう広い家で、確か 5LDK くらいの豪邸だった。本当にありがたいお話だったのだが、結果としてはお見送りさせていただく形となった。理由は主に 2 点あって、築年数が古すぎてトラブルが起きないか不安だったのがひとつと、もうひとつは世田谷区だったこと。後者はただただ自分との相性の問題で、決して悪口などではない。

 

お見送りとはなったものの、一瞬でも引っ越しのことを考えたことで、当時住んでいた押上の部屋の狭さが気になってきてしまった。押上というとスカイツリーのふもとであり、半蔵門線の始発駅でもあり、決して家賃が安いわけでもなく、さらに新築の物件にしてしまった関係で、非常に狭い間取りの部屋に住んでいた。とはいえ住み始めたタイミングでは「仕事から帰って寝るための部屋」という位置づけだったから、特に不便は感じなかった。…のだけど、時代が変わってリモートワーク主体になると当然家に求めるものも大きく変わってしまった。

ほぼほぼワンルームのような間取りだから、奥様と二人同時にリモート会議ができないのが痛かった。試しに一度会議をかぶらせてみたんだけど、大きさに定評のある奥様の声は私のダイナミックマイクの指向性をも突き破って侵入するくらいで、どうにもうまくいかなかった。その他にもカメラ ON で会議するともうひとりが後ろを通ってトイレに行けないなどの弊害も生じたので、いっそ片方はトイレでやろうみたいな話にもなったりして、最終的にはお互い明日の出社を願い合うみたいなよくない流れになった。秋くらいから感染者も落ち着き始めたので奥様は比較的出社の日が多くなったのだけど、またいつ出社制限がかかるかわからない。Zoom 喧嘩はもう懲り懲りである。

リモート主体になると、そもそも押上に住む必要もない。正直、座って渋谷に行けるというのはめっちゃ良い。西側からの場合、かなり郊外からでないと座って通勤することはできないが、東側である押上は半蔵門線の始発ゆえに確実に座れる。渋谷に通勤していた頃はこのメリットを最大限に享受していたが、今は宝の持ち腐れであり、であれば他の人に権利を譲ったほうがより多くの幸福につながると考えた。

あと新築のくせに地味な不具合もあった。共用の玄関はさすがのオートロックで、ロック解除のために鍵を挿して回す必要があったのだけど、なぜか鍵の回りがめちゃくちゃ悪くて、「鍵を完全に挿してからほんのわずかだけ引いて回す」ようにしないと回らなかった。この「ほんのわずかだけ引く」のが非常にシビアで、一発で仕留めるのはもはや職人レベルの域だった。苦戦する日々を続けるとだんだんコツがわかってきて、最終的には手首を痙攣させながら回すとうまくいきやすいことがわかった。痙攣させないと入れないマンションなんていやだ。それにしてもほかの住人が苦戦している姿を見たことがなかったので、ウチの鍵だけだったのかもしれない。

こういった理由から、今このタイミングで引っ越そうという結論に至った。

 

じゃあどこに引っ越すかという話になって、ぱっと浮かんだのがここ本八幡だった。引っ越すにあたって一番の要件は、お互いが快適にリモート会議できる間取りの広さ。なおかつ家賃の影響も最小限に抑えるのであれば、少なくとも東京から出る必要がありそうだった。本八幡は東京に近いにもかかわらず、良い意味でイナタイ感じがたまらなく、街が自分たちとピッタリ肌に合う感覚だった。ということで物件探しをしたものの、まぁ見つからない。どうも、自分たちの希望する間取りの需要に対して供給が追いついていなくて、物件の数が少ないと不動産屋は言っていた。どこの人たちも同じことを考えているようだ。運良く新着物件が次点の人とタッチの差で契約することができた。家賃はここ 1 年で 1~2 万円くらい高くなっているようだったが、それでも引く手あまたのようで、恐ろしい。

 

部屋の広さを優先させたので立地的には駅からちょっと離れるが、押上から渋谷まで夫婦で散歩していた身としてはまったくもって問題ない距離。一方、延床面積は押上の部屋のおよそ 2 倍になった。もちろん部屋も別れているので、これでもう Zoom で喧嘩することがなくなった。

とにかく広さは正義だった、ということをひしひしと痛感している。ほぼ毎日のように「いい部屋だな」とポロッとこぼすくらいに満足している。家なんてどうせ結局は慣れるんだから安いに越したことがないだろうと思っていたが、意外とそうではないもんだなと考えさせられた。以前は、狭いがゆえの無数の小さなストレスを日常的に感じていたのだなと思う。恐ろしいのはこれで家賃は押上の部屋の +1 万円程度で、もっと早く (できれば家賃の安いうちに) 引っ越せばよかったと後悔するほどの良さだった。

この広さであれば将来的に子育ても問題なく可能なので、当面はこの本八幡で暮らして、次に引っ越すときは北海道になると思う。いや、そうさせる。

 

惜しむらくは、不動産屋のミスでインターネットが未だに使えないこと。光回線の工事をする際に「光コンセント」の有無で工事内容が変わってくるため、あるかどうかを不動産屋に尋ねて「ある」という回答をもらっていたのだけど、いざ入居してみるとどこにもなくて、聞けば「内装業者が取り除いてしまった」ということで工事が中止に。改めて光コンセントの敷設を含めた工事を手配したものの、最短で一ヶ月後となりその間はレンタル Wi-Fi で (今も)その場しのぎをする羽目に。1 ヶ月分の使っていないプロバイダ代、レンタル Wi-Fi 代、中止分の工事費…など余計な出費がかさんでしまった。ぶっちゃけ駄々をこねようと思えば十分こねられると思うが、誰しもミスはあると思うし、何より部屋に満足しているので、良しとする。

 

改めて読み返してみると、文脈的にものすごく押上が悪者のような印象を受けるけれど決してそんなことはない。ただただ押上の部屋選びが悪かっただけだったと思う。そんな押上の思い出はまた後日振り返ってみたい。

 

そんな戻八幡を果たしつつ、なんとか 2021 年を終えられてよかった。今年もありがとうございました。