院生時代、松尾さんの論文の書き方には大変お世話になった。
そんな松尾さんの著書が近所のツタヤで大々的に積まれていたので、つい買ってしまった。
相変わらず明快な文章で、分かりやすい。
内容は、今日までの人工知能研究についてと、今後社会に大きなインパクトを与えるだろうディープラーニングについてのお話。
ディープラーニング。これまた院生の頃が丁度流行りだした時期だった。自分はサポートベクトルマシン(過去の技術)で老害的な論文を書いていたからか、査読のコメントにはよく「レガシーな手法だね」「今はもっと良い方法がある」なんて言われて落とされてたな。(もちろん、研究内容自体がアレだったのは言うまでもないが)
ディープラーニングの登場によって人工知能研究に大きなブレイクスルーが生まれる。そうすると懸念されるのが、将来的に「人工知能は人を襲わないのか」という問題。これに対し、松尾さんは「人工知能に生命が存在しない限り人間を征服することはない」という主張。つまり、生命があって初めて「自己を保存したい欲求」が生じ、そこから征服欲を持ち始めるとのこと。
本文の冒頭で「分かりやすい」と言いつつも、ちょっとこの部分は難しくて未だに噛み砕けていない。たとえば自己保存欲求とは関係のなさそうな好奇心からでも征服の欲求って起きないのかな?そもそも、人工知能が好奇心を持つこと自体があり得ないのか。
人工知能が凄まじい進化をしていく過程を目の当たりにできるなんて、すごく面白い時代を生きているなぁと思う。